「生きてきたせめてもの罪滅ぼしをさせてくれ」 |
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思い出すのは市場(いち)に飛び交う競りの声
大漁旗に送られて手を振った港町
ああ返してよ 雨の石巻
「男(アイツ)の魂は鴎になって帰るよ」
信じてみたい遠く海鳴り聴く夜は
泣きたい心に追い打ちをかけるような通り雨
ああ逢いたいの 雨の石巻
あの男(ひと)を奪ったこの海を恨んでみたい
憎めないのよ 涙枯れても叫んでも
離れられないの 波音を枕がわり寝た女
ああ泣かせてよ 雨の石巻
夫は震災後2回、石巻に泥かきに行った
今月末再びかの地を訪れるという。
夫曰く「生きてきたせめてもの罪滅ぼしをさせてくれ」
私は夫から聞いた石巻の惨状の中に残され、
なおもここで生きてゆこうとする女の姿を歌にした。
これも私の罪滅ぼしの形の一つ。
あの日から100日がたった昨日は
東北の至る所で法要が営まれたはずだ。
地震、津波、そして未だ終息を見ない原発問題と
被災地のみならずこの日本に住むすべての人々が
己の生活いやそれ以上の生き方、心の問題まで
重い課題を突き付けられたままでいる。
南相馬の私の大学時代の友人は柏崎の避難所から
5月の連休後再び故郷の福島へ帰って行った。
線量計をつけたままの生活なんて皆さん想像できますか?
それが四六時中ピーピー鳴る生活なんて皆さん出来ますか?
昨日だって彼女曰く
「どうしたんだろうね?今日の放射線量高いんだよね」
「そんなところから避難すればいいじゃないか」と
「なんで新潟県の避難所からわざわざ福島なんかへ帰るんですか?」と
異口同音に皆さんは彼女の行動を理解できないと思われるでしょう
私もそう思います。事実そうも言ってやりました。
でも彼女の気持ちも解ります。
なぜならそこが彼女の故郷だから
そこで生まれてそこで育って
そこで人を愛してそこで子供を産んで
そこで死んでゆこうと覚悟を決めた人だから
福島を愛しているから
人が人を愛するように彼女は故郷を愛しているから
心底、福島に惚れこんじゃっているから
だから私は彼女にこう言った
「ほんとにあんたはおバカな女だね
放射能の中へ突っ込む、まるで特攻隊じゃない
でも福島へ帰るなとは言わないよ
止めたって無駄でしょ?」
彼女は笑ってこう答えた
「さすが陽子ちゃん私のこと良く解ってる」
私は福島に住むいとこの言葉を思い出していた
「わたしは福島で死ぬんじゃないよ。
福島と死ぬんだよ。原発と心中するよ」
ああ彼女も表現の違いこそあれ同じ気持ちなのだ。
福島県人の祖母に育てられ、福島県人の母から生まれた
私には今、この瞬間も生と死の極限状況におかれた
いとこの言葉も彼女の言葉も
あまりにも重くてあまりにも強烈で
軽々しい返事が返せない。
「さすが陽子ちゃん良く解っている」
彼女は優しい人だから、笑ってそう言ってくれたが
解ってるんじゃない
ただ心が痛いだけ、心が痛いから
痛いままにぶつけているだけ
痛いまま受け止めるしかないのだ。
そして彼女は言葉を続ける。
「私は実験台でいい。次やその又次の世代の人たちが
この福島で幸せになってくれたら私はそれで生きた価値がある。
だから国にお願いしたいのは一日も早く
原発問題を終息させてほしい
それだけが今の私の願い」
政府の方々よ。
彼女のこの静かな怒りが聞こえるかい?
飯館村の穏やかな牛の目があんたらには悲しく見えないのかい?
自殺した相馬市の酪農家の悲痛な叫びが本当に届いているのかい?
国会でガタガタやってる場合じゃないでしょ
苦い涙が私の胸をとめどもなく流れていった。
昨日も彼女と電話で話をした。
「今日で100か日。親族で集まって法要を済ませてきたよ。
生き残った者たちで思い出話して久々にみんなで笑ってきたよ
あたしたちが元気じゃなきゃ死んだ者が浮かばれないもんね」
そして彼女は私の夫と同じ言葉を発した。
「それがせめてもの罪滅ぼしだよね」
悲しくても笑い、切なくても笑う
それを人は強いというが
私はそんなに強くない
ただ死んだあの人を思ったら笑えるだけ
悲しさに泣いて、切なさに泣く
人の涙を抱けるほど
私はそんなに優しくない
ただ死んだあの人を思ったら泣けるだけ
「ごめんね。ほんとは、涙なんか陰でそっと拭きたいんだけど」
「いいよ。今はここで好きなだけ流しなよ」
これも私たちが震災後交わした会話。
こんな会話しなくて済む日が一日でも早く来ますように
祈りを込めて今日のブログを終わらせます。
本日も読んでいただきありがとうございました。
追伸
福島と36回唄っている歌です
よかったら聴いてください。
そしていつの日か福島に遊びに行ってやってください。
http://www.youtube.com/watch?v=gtV0Ter7I2A&feature=related
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そうすると聴くことができます。
一度だけの人生、心豊かに明るく積極的に生きる。
ハロー話し方教室 代表 福士 敏行・陽子
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