話し方は生き方?「意に添ってみよ」で清々しきスピーチを

明けましておめでとうございます。
旧年中はお世話様になりました。
今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

あーまたしても松の内に言えなかった。
(どころか、今日はもう11日。鏡開きじゃない。
早く、お汁粉食べなくちゃ)
(それより陽子さん、早くブログ仕上げた方がいいと思うんですけど)

きゃー恥ずかしい。ほんと皆様ごめんなさい。

お正月と言えば様々な思い出が甦ってきます。
妹との羽根つきは毎年楽しみだったな。
父と競争した百人一首、母と揚げた凧揚げ。
あー、ほんと楽しかったぁ。
(んッ?何か反対?我が家は世間一般の
父親像と母親像が逆転していたからなぁ)
もう40年近く昔の事なのにね。昨日の事のように思い出す。

子供時代は楽しい事だらけの、お正月の思い出だけど
大人になると、ただでさえ慌しいお正月が
悲しいかな本当に慌しいだけで終わっちゃって
これと言う思い出が作れないと言うか、
記憶が薄れてきて単に出てこないのか?
どちらにしても「まったく淋しいもんだわさ」と
思うのは私だけかしらん?

それでもとても温かい思い出を味わったお正月があった。

あれは2006年の年の初めだった。
その夏、私は肺炎を患い体力がまだ完全には
回復しきってはいなかった。
そのせいか、暮れに風邪をひいたのだが、
なかなか治らず年末に休日診療に駆け込む始末。
これで治ると安心したが、甘かった。

大晦日になっても熱が下がらず、正月準備どころではなかった。
いつもなら、大掃除やおせち料理作りに余念がない?ところだが、
ただでさえ普段からさぼり癖満々?のこの私が
だるさで体が言う事を聞かず、さらにやる気無し。

それでも主人は優しかった。
「いいからゆっくり寝てなさい」
「洗濯?まかせなさい」
「おなかすいたでしょ?何か買ってきてあげるね」
私は大いに甘えさせてもらった。

が、何より主人に申し訳ないと思った。
せっかくの正月休みなのに
主人にゆっくりしてもらうどころか、
忙しい思いばかりさせて、料理だって
温かい物と言ったってコンビニのおでんや、
電子レンジでチンのお弁当ばかりで
おせち料理やお雑煮1つも作ってあげられない。

それでも文句1つ言うどころか、
夜中に私の額のタオルを変えてくれる主人には
心から感謝をした。

感謝したのは、主人だけではなかった。

それは元日の夕方だった。
「陽子さん、ごめんね。寝てた?」
マンションのお隣さんのHさんから電話がかかってきた。

「ご主人から聞いたんだけど、風邪ひいちゃったんだって」
「そうなんです」擦れ声の私に
「今ね、茶碗蒸しと、スープ作ったから持っていくね。
あっ、パジャマのまんまでいいからね」
ほどなくピンポンと音がして、Hさんが鍋ごと抱えてやってきた。

笑顔と共に、出来たての茶碗蒸しとスープが湯気を立てていた。
「ごめんなさい。こんなかっこで」
「いいの。いいの。それよりこれ食べて」
「うわー。嬉しい」私は飛び上がらんばかりだった。
「お料理作れないでしょ?風邪引いたときは温かい物がいいから」
「そうなの。冷蔵庫の残り物でお正月過ごしているの」
「風邪引いたときは、無理して台所なんか立っちゃだめよ」
「ありがとうございます。遠慮なくいただきます」

私は涙が出そうだった。

温かいゆうげだった。
主人と二人、心からホカホカした。

「おいしいね」「ほんとだね」
「Hさんて料理の天才だね」「私もそう思う」
「このスープ豪華版だね。ふかひれだよ」
「ちんげん菜と卵で彩りも抜群だね」

「茶碗蒸しだってうまーい」「ほんとっ」
「ぎんなん入りで嬉しいなぁ」
「あったかいね」「うん、心まであったまるね」
「あーおいしい」「あー幸せ」

ひさしぶりに心から会話が弾んだ夕食だった。
それもこれもみな、Hさんのお陰だった。

なんて優しい人なんだろう。
思えば肺炎で入院し、面会が許された時
一番に飛んできてくれたのはHさんだった。

その時ふと、私は思った。
私が逆の立場だったら同じことをしただろうか?と

いくら親しくさせていただいている間柄とは言え、
のんびりしたい正月休みの
しかも元日の晩に、わざわざお隣さんのために
忙しい時間を割いて、台所に立ち煮炊きをする事など
私だったら果たしてするだろうか?

茶碗蒸しとスープの鍋を抱えて
それも決して押し付けがましくなく
それでいてさりげなく、
温かい思いやりのある言葉を
掛けてあげることなど出来るだろうか?

その時、私は自分の胸に問うてみた。
答えは恥ずかしながら、自分の事で精一杯で
考えすら及ばないだろうと言うのが正直なところだった。

ああなんて自分は情の薄い
情けない人間なんだろうか。

私は嬉しい反面、自分の愚かさに気付き
おいしさと共に苦味も味わっていた。

「かけた情けは忘れても
忘れちゃいけない人の恩」
昔、ばあちゃんがこんな事よく言っていたよなぁ。

福島弁のばあちゃん風に言えば、
(ここからは東北弁で読んでください)
「人様に親切にしてあげっことは、人としてあたりめぇだ。
それを「してあげた」なんて、人様に自慢なんかすっでねえ。
まして、「してあげたのにあの人は何も返してくれねぇ」とか
間違ってもそったら恥ずかしいことゆう(言う)でねぇぞ」
「うん、わかった」

「それよりどんなちっちぇえ(小さな)事だって
人様さぁかけてもらった恩は忘れちゃならねぇ。
それこそ恥ってもんだぁ」
「いいかっ、陽子」なんて念押しまでされたのなぁ。

してあげた事は年のせいも手伝って、
この頃すぐに忘れちゃうんだけれど
こまったことに同じくらい人様に
していただいた事まで忘れちゃうのよね。

あっ、もっとも主人と喧嘩した事は、
不思議な事に1つも忘れてなくて
今でも事あるごとに、「あの時はさぁ」
なんて持ち出すもんだから主人はおびえて?日々過ごす始末。
ああなんてかわいそう?なうちのだんな様。

これもやっぱり私の欲深さからくるんだろうね。
自分が喧嘩の種を蒔いた事なんかすっかり忘れて
覚えているのは喧嘩して悔し泣きしたことばっかり。

それも10年以上の昔の事、鮮やかに覚えているようじゃ、
いくらその時、自分から「ごめんなさい」ってしおらしく?謝っても
ちっとも可愛い奥様?(ッてことにしておいてよ)じゃないわよね。
あーなんか主人にご同情?申し上げちゃうわ。

ましてや、自分から折れもしないどころか、
ネチネチ言われるのも聞かされる方は
たまったもんじゃないだろうし、
言わないまでも根に持って暮らすのは、
何より聞かされる身よりも、当の本人が苦しいわよね。

暮れの合同授業で、今回40名ほどが参加して
大スピーチ大会が行われました。
今回も大いに盛り上げていただき、本当にありがとうございました。
皆様と共に楽しい時間を過ごせた事、とても幸せに感じました。

その中で、今回印象に残ったスピーチをされた
生徒さんがいらしたので
ここでご紹介させていただきますね。

課題は「今年の私の重大事件」
お一人の女性がね、喧嘩をした相手に自分から謝られた
お話をされたのだけれど、実にさわやかで、清々しい
笑顔でお話されたの。

心のわだかまりが全て洗い流された人の
笑顔はなんて美しいのだろうと私は感動を覚えた。

スピーチはたった2分だけれど
彼女の思いに馳せてみれば、
喧嘩したその日から、謝るまでの
長い時間、どれほど彼女が苦しみ、悩んだか。

そしてついに意を決するその時までの
様々な心模様が、たとえ全て言いきれずとも
彼女の言葉の端々から、滴のように流れ落ち
私の心に熱いものがこみあげてきた。

人に頭を下げる事の難しさ。
自身が傷つきながらも、
傷つけた人への思いをめぐらす
「意に添うてみよ」
すなわち「相手の立場に立って物事を考える」
そこへ至るまでの苦悩と葛藤。

でも残念ながら多くの人がここで挫折するのよ。
でも本当の人間力を試されるのはここから。
ここからが本当の「自分との勝負」だと私は思う。
「ごめんなさい」の6文字がどれほど重たくて
面と向かって口にすることの勇気と気恥ずかしさ。

「心を込めて」「真正面から」謝罪した経験のある人なら
手にとるようにお解りいただけるだろう。
「己の否を認め」「涙と共に」頭を下げた経験のある人なら
その痛みまでもが、透けるようにお解りいただけるだろう。

立派な人だと私は心から拍手を送った。

彼女は体感したはずだ。
人が生きてゆく上で何が大切かという事を。

彼女には伝わったはずだ。
ハロー話し方教室が、何を最終的に皆に求めているのかを。

ハロー話し方教室では
「先手の挨拶、ほめる、感謝」を課題に掲げ
そしてこれらを実際やっていただいて、
その結果をスピーチしていただく授業を行っている。
でも本当はそれだけじゃない、人として生きてゆく上で、
もっともっと大切な事を
皆さんに感じていただきたい。学んでいただきたい。

そして何よりその感じた心を日常生活の中で
大いに生かしていただき
より豊かな人生を歩んでいただきたい。

それがハロー話し方教室の願いなのです。

最後になりましたが、年末の忘年会には
残念ながら私は出席出来ませんでしたが、
ステキな花束や、心のこもった寄せ書きをいただき
本当にありがとうございました。
この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

どうぞ今年も皆様にとって実り多き一年でありますよう
祈念して今日のお話は終わらせていただきます

念頭から長々おつきあいいただき本日もありがとうございました。
まだまだ寒い日が続きます。
どうぞお体をご自愛くださいませ。

さてと、お餅焼いてお汁粉食べよっと。

それではごきげんよう。

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