大きな奇跡と小さな奇跡

 

 

早いもので今年もあと一か月と数日を残すのみとなった。

思えば2月の大雪の日に母を亡くし、3月の彼岸明けに

それまでの介護の疲れがドッと出て、体調を崩し

医者通いを続け、夏の暑さも手伝って、

やせ細ってしまった体重がようやく

戻ったのは、秋風が吹き始めた頃だった。

 

その間、世間では土砂災害や、御嶽山の噴火など

今年も大きな災害に見舞われ、つい先日も長野で地震が発生した。

多くの家屋が倒壊し、けが人こそ出たものの

よくぞ犠牲者が一人も出なかったと思う。

それこそ奇跡だと思った。

 

日ごろから隣近所が助け合い、支えあってきた賜物だと

その後の報道を見て感じた。

 

地震と同じ日の午後、私は近所の公園で忘れ物をした。

それはお尻の敷くレジャーシート。

クルクルとコンパクトに畳める、値段は480円ぐらいだったかな。

夕方暗くなってから忘れてきたことに気が付いた。

 

どうせ安物だしもういいや。

  • 公園には土曜日でたくさんの人が来ていた。

誰か持って帰ったに違いない。

主人も「100%もうないよ」

「そうだよね」

 

ところが翌日期しせず、再び公園に散歩にいってびっくり。

なんと、昨日座ったベンチの傍の大きな石の上にそれがあるではないか。

それもご丁寧に風で飛ばないように、小さな石で押さえてある。

 

「あった」わたしは思わず大きな声で叫んでしまった。

公園には昨日同様たくさんの人が来ていた。

傍らで休んでいたご婦人が私の声に驚いて思わず振り返り

「何があったのですか?」と尋ねてきた。

「いやー昨日ここで忘れ物をしたんですが、まさかあるとは」

私は手にしたレジャーシ‐トをご婦人に見せた。

「よかったですね。親切な方で」

「ほんとありがたいです」

私は嬉しくて、主人に急いでメールをした。

「忘れ物、公園にあったよ」

 

主人は仕事から帰ってくるなり

「メールみたよ。すごいね」と私同様に喜んでくれた。

「『絶対ない』って思った」

「あたしだって同じよ。見た瞬間、奇跡だと思った」

 

私は、物が返ってきた喜びはもちろんだが、

忘れ物をした人が困っているだろうと、見ず知らずの人に思いをはせてくださり

それも風で飛ばされないようにと、心配りまでしてくださった

温かな思いやりあふれるその行為に心から感謝したい。

 

地震で自らも被災しながら、なおかつ他人を助けるという

尊い思いやりから、

公園のベンチの忘れ物にまで

ささやかな思いやりがあふれている。

 

日ごろの小さな奇跡の積み重ねが、

やがては大きな奇跡を起こすのだと

私はあの日、「日本人の心」を改めて感じた。

 

横浜も揺れて怖かったけれど、

心が豊かになるってこういうことなんだなって

かみしめるような一日だった。

 

 

 

 

 

 

 

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