ありがとう親方

 

亡くなった母や父も大の相撲好きだったが、とりわけ祖母も相撲が大好きな人だった。

大鵬のファンだったが、千代の富士がデビュー?し、

「大鵬もいい男だったが、この男も負けねえぐらいいい男だ」とほめちぎっていた。

母も、隣で共に観戦する父のことなどおかまいなしで連日キャーだの、ワーだの

大騒ぎしていたのを昨日の事様に思い出す。

「この男は絶対横綱になるゾ」と、常々予言?していた祖母も残念ながら

その晴れやかな決定戦を見ることなく、直前でこの世を去った。

優勝したその日、祖母の位牌の前で

「おばあちゃん千代の富士優勝したわよ」と号泣した母の姿は

一緒に祝いたかった無念さと、応援し続けた力士の横綱決定という

喜びが会い混ざっての涙だったと今更ながら思う。

私も涙をぬぐいながら、共に歓喜を分かち合い、

日本中が沸き上がったあの日から、

もう40年近い歳月が経とうとしている。

昨日九重親方の訃報に接し、忘れていたあの日の記憶がまざまざと蘇り、

再びの涙をこぼした。歓喜の涙でないことが残念だ。

今も画面がぼやける状態のまま、この文章を打っている。

改めて千代の富士と言う名力士が残した足跡の偉大さを思う。

隣でやきもきしていたであろう父も亡くなり、

寝たきりになっても相撲観戦だけは、

じっと見続けていた母も他界してから、三度目の夏を迎える。

「母上たち、あの世でも皆で相撲観戦をしているよ」

時折、主人が話すことがある。

その度に、「うん、相変わらずキャー、キャー言ってさ」と答える私。

「父上も『母ちゃん、静かに』って言ってるかな?」と主人が言えば

「言ってる。言ってる」と二人で大笑いをする。

そんなささやかな楽しみまでも、皆に残して下さった

心技体プラス母いわく「顔もいい」

『本物』の素敵な相撲取りだった。

立派にそのお役目を最後まで果たされました。

あなたはやっぱり「千代に日本一の富士」だったわ。

沢山の感動をありがとうございました。

どうぞ安らかにお眠りください。

本当にご苦労様でした。

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